2018〜書積〜

書を重ね、知を広げ。

レ・ミゼラブル 感想

昨年度末に授業で扱う題材に決めたこの作品。原作を読み返すと、やっぱり映画がダイジェストにしか思えませんでした。

ヴィクトル・ユーゴー作の「ノートルダム・ド・パリ」も以前に読んだことがあり、通ずる箇所が何点かありますね。

まずは治安が乱れた時の宗教、特にキリスト教の強さが挙げられます。選民思想のないキリスト教は、誰であっても平等に愛し、助けるといった教えがあるようです。物を盗まれた時、「これも持っていきなさい」なんて、普通は思えませんね。そして「正しい人になりなさい」なんて言われてしまえば、ジャン・ヴァルジャンの生き方がここから大きく変わってしまいました。愛することの大事さ気付き、人のためにあらゆる場面で自己犠牲する姿にはため息すら出ます。

そしてもう1つ。どんなに堅実な人間でも、完全な人間は存在せず、結局感情に、揺さぶられてしまうということです。登場人物でいうと、フロローとジャヴェール。どちらも裁く側の立場だが、理想を掲げるものの、人に対する情との葛藤にどちらも負けてしまいます。正義というものは、それぞれの考え方があるが、いざとなれば曲げざるを得ないこともある。人間らしさが垣間見られ、この両方の登場人物も気に入っています!

あまり日本に馴染みのない革命について、考えさせられる作品であり、社会科の教員としてとても楽しませていただきました!