2018〜書積〜

書を重ね、知を広げ。

6冊目 AI vs 教科書の読めない子供たち 新井 紀子

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職場の同僚に紹介してもらった本ですが、なかなか興味深く鋭い視点で教育に提言しているものでした。

【大まかな内容】

人工知能の研究は世界的にかなり進んでいて、身近なところではSiriやGoogleHomeなど、音声を認識して的確に表出をする機械が出来ている。そんな人工知能囲碁や将棋では負けないし、大学受験においても、MARCHレベルでは合格可能性が高い。ゆくゆくは労働面においても人工知能が侵略を始めるのではと言われている。しかし筆者はその事を否定する。人工知能には常識や意味を理解することが出来ないから。与えられたものの中から統計的に答えを探すことは出来ても、自律的に新たに何かを作ることはできない。

筆者の言いたいことはそれだけではなかった。文章の読解を苦手とする人工知能よりも、読解力の低い中高生が多く存在していること、これこそが筆者の問題意識であった。こういった人がそのままの状態で社会に出たとしたら、機械に代替される人間となってしまう。つまりは働けない人材となるのである。日本の教育においては、アクティブラーニングやESDが流行りであるが、その根底にあるスキルとしての読解力が育たなければ何にもならない。教育委員会、学校、教員、保護者など、子供を取り巻く大人達がこのことに対して問題意識を持って取り組む必要がある。

 

【感想】

空気を読むこと、行間を察すること、意図を把握すること、背景を除くこと、どれも難しい事だけど、こういった思考の柔軟性が高い人ほど、人工知能が広まった世界でも生き残れる人なんだと思う。

学校現場においても、読解力の低い生徒がいるのは当然だが、教職員にも多い。問題はそこに危機意識を持てるかどうか。何となくで済んでしまう世の中だから、いつドツボにハマるか怖いものだ。本を読み進めていくと、コモディティ人材のことを思い浮かべる事が多々あった。替えのきかない人材になるべく、自分だけのオリジナリティ、そして、人に選ばれる力がこれまでは対人間であったけど、近い将来は対ロボットとなる。勝てないところは当然あるが、勝てるとこも当然あると言いきれるくらいに研鑽を積んでいきたい。社会人として。