2018〜書積〜

書を重ね、知を広げ。

3冊目 アラジンと魔法のランプ 訳:川真田純子

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アラビアンナイトの中の4つの物語の詰まったこの1冊。

今回はディズニー作品の『アラジン』の原作を探ろうと思い、こちらの本を読みました!原作とディズニー作品との違いも多々あり(下にまとめてます)、非常に楽しめました!

【あらすじ】

舞台は長安。アラジンの幼少期から話は始まる。父母も登場するが、アラジンは手に職を付けようとせず、仲間とつるんでばっかりで、度々両親を悩ませていた。そして、父親の死が訪れると、モロッコから魔法使いがアラジンを目当てにやって来る。その狙いは魔法のランプ。アラジンには頼りない魔人を呼べる指輪を渡すことに。上手いことアラジンを操りランプを手に入れようとするが、ギリギリで及ばず。リベンジに燃える魔法使いはまたもや長安へ乗り込む。その頃アラジンは最高峰の魔人の力を借りて、王女との恋愛を射止めていた。魔法使いはこっそりとランプを差し替えることに成功し、アラジンが建てた王女との城をモロッコに移してしまった。王は娘も行方不明となり、アラジンに激怒。アラジンもランプと王女を取り返しに頼りない魔人の力でモロッコへ。睡眠薬を使い、まんまとランプの奪取に成功。最高峰の魔人の力を借り魔法使いを野生の地へ飛ばし、城も長安へ。王様も御満悦出会ったが、魔法使いの弟が復讐にやってくる。彼は魔人の弱点を知っていたが、頼れる魔人の助言によりアラジンは救われ、弟をナイフで突き刺すことに成功した。こうしてアラジンはゆくゆく国王になり、王女と仲良く過ごしていった。

【ディズニー作品との違い】

①舞台が中国
②アラジン父母の登場、そして母が王女へアプローチ
③ランプを狙っているのが外国人魔法使い

④アブー、イアーゴ不在

⑤魔人がいっぱいいて、ジーニーは最高峰
⑥ジーニーは無限に願いを叶えられる
⑦アラジンは職に就いている
⑧白いチェス盤が魔人にとって神聖なものであり、それを魔人が持ち出すと魔力を失うという謎の設定
⑨結局アラジンは貧しい人間ということはバレず、ジーニーに頼りっぱなしで国王になる(ディズニーほど誠実ではない)

 

違いが多々あるとはいえ、アラジンが選ばれし者ということ、ジーニーに頼りまくるということは変わりません笑

ノートルダムに引き続き原作を読みましたが、ディズニーの編集の様子も見え、とても楽しかったです!

 

2冊目 向日葵の咲かない夏 道尾秀介

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【あらすじ】

舞台は犬猫が脚の骨を折られ、石鹸をくわえられる不審死が続いていた街。事件は一学期の終業式の日に起こる。その日欠席したS君に手紙を届けることになった主人公のミチオ。学校が終わり、S君の家に着くと家には誰もいない様子。恐る恐る家の中に入ると部屋には首を吊っているS君の姿があった。急いで学校に戻り、担任にその事を伝え、今度は担任が確認に上がる。しかし、その時にはS君の遺体が消えていたのであった。クモに姿を変えたS君と共に遺体を探すことにしたミチオとミチオの妹のミカ。まず疑ったのは担任であった。彼には少年の裸姿に興奮する性癖があり、家にはいくつもの写真が見つかった。しかし、結局彼はS君の死とは一切関係がなかった。遺体を隠したのは裏山に暮らす70代の爺さんであった。実は犬猫の犯人はS君であったが、骨を折っていたのはこの爺さんであった。骨を折らずにはいられなかった爺さん。やがてS君が爺さんに場所を予告するようになった。最後の予告地がS君の家なのであった。

終業式の朝、ミチオはS君の家にいた。「死んでくれない?」まさかそれが実現するとは思わなかったのであった。

 

【感想】

久々に読んだサスペンス。しかもファンタジー性に富んだ展開に斬新さを感じました。あらすじには書ききれない、テクニカルな描写が多々あったこの作品。S君がクモに姿を変えていたが、実は近所のおばあさんや妹のミカ、ミチオが好意を抱いていたスミダさんも実は皆死んでいて、別のものとして登場していました。最後の最後まで気付かず読み進めていたため、何度も「ウソ!!!!!」と口に出してしまいました。でも一番ハラハラした場面はやはり3人が担任の尾行をしたシーン。家が分かったと思いきや、すぐに家を出た担任。そのすきに家に入ることに成功したS君とミチオ。そこで見たものは山積みになっている子供たちの裸の写真。そんなときに担任が帰ってきてしまう。必死に風呂場に隠れると、担任はヘッドホンをかけ何やら映像を見始めます。それをどうにか視野に入れたミチオ。S君の裸姿の映像でした。

文字を追っているだけなのに、心臓バクバクさせたのは久々の経験でした。

最後にタネ明かしが多かった分、またすぐにでも読み返したいと思いました!

1冊目 コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

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【あらすじ】

舞台は地下にある古く物静かなカフェ。

このカフェには時空を超えることが出来るという噂があり、連日客が訪れるのであった。

時空を超えるためにはいくつかのルールがある。決められた席、限られた時間などなど。

そしてこれらの条件の中で『恋人』結婚を考えていた彼氏とわかれた女の話。『夫婦』記憶が消えていく男と看護師の話。『姉妹』家出した姉とよく食べる妹の話。『親子』この喫茶店で働く妊婦の話。と4つのエピソードが展開されるのであった。どの話も決められた条件に則って、過去にも未来にも時空を超える。知らなかった何かを見つけるために。

しかし時空を超えた先で何かを変えたとしても、戻った現実を何1つ変えることはできない。これも条件の1つ。

そこで、主人公は心を変えて現実世界に戻り、未来を変えていったのである。

 

【感想】

カフェの中にいる人が順番に主人公になる構成であるために、最終的に全員の歴史がよくわかって面白い。最初の主人公がそれ以降のエピソードにも登場してきて、短編と思いきや、カフェの中の時間軸が一筋に流れていてそれもまた面白い。

 

過去に戻りたい人は、現状に後悔や不満があり、それを変えようと戻る。条件からそれらを変えることはできないのだが、戻った先で未来志向の重要なメッセージを手に入れる。そのメッセージにより現実世界でも前向きに生きていくことが出来た。

つまり自分の思い込みや妄想など一点から見るだけでは一面しか見ることが出来ない。ひとつの情報にすがりつくのではなく、様々な情報を疑い、どんな現実もポジティブに捉えていくことが大切。

事実は過去、その受け止め方1つで、いろんな未来を切り開くことが出来る。

そんなことを感じました!